餅鯛稲荷大明神  もちたいいなりだいみょうじん 「神道を知る文献・資料」


神道を知る文献・資料 3
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(” 新興宗教を考察する ”より)

大和民族の宗教〜その発祥〜

かつては朝鮮半島と陸続きだったといわれる日本列島ですが、それはさておき、この地域に住む人々は国が作られるはるか昔、縄文時代のころから自然崇拝の信仰をもっていたといわれています。縄文時代の遺跡には縄文土器とおなじく「土偶」が出土しますが、これも原始宗教の一例です。土偶は安産を願って女性の形をかたどって作られ、これを崇拝したといわれています。(宇宙人をかたどったという仮説もあるが、それはうさんくさい)

弥生時代に入ると人種の変遷がある(縄文人と弥生人はちがう人種であるという説が考古学上有力だそうです)といわれてますが、宗教面での変化はあまり知られていません(私は知りません)。

古墳時代(AD3世紀ごろ?)に入ると、だんだんと民族がかたちづくられてきます。宗教も進化して豪族は墓をもつようになり、その名の通りの「古墳」がつくられますが、じつはこれも大陸文化の影響といわれており、土着の宗教となんらかの形で融合したものです。古墳の周りには「埴輪」が配置され、これは墓の主があの世で使用する家来をかたどったものといわれています。数々の副葬品も、墓の主があの世にいった時のためのものです。

そして、古墳時代の後半になってようやく国らしきものができたといわれていますが、歴史上明らかになっているところでは、3世紀後半に奈良盆地にて有力豪族たちの連合国家(大和国)が成立し、その豪族のトップが天皇一族のご先祖様であったということです。この国家の成立によって形成された大和民族は自然崇拝から進化した多神教の民俗信仰をもっていました。それはのちに天皇家の伝承を中心とした宗教である神道となり、その教義ともいえる神話の数々は奈良時代の頃に「古事記」「日本書紀」としてまとめられましたが、同時にその頃には中国から朝鮮半島を経て仏教の伝来がありました。こうして日本では古くからの民族宗教である「神道」と、外来の「仏教」が混在する形をとるようになったのです。

なお、国の行政府である大和朝廷は7世紀にはいるまでは近畿・山陰山陽・四国・九州北部がその勢力の及ぶ地域だったといわれており、日本列島全部を支配化においていたわけではなかったのです。が、九州南部の隼人(はやと)、関東・東北地方の蝦夷(えぞ)を順次平定し、北海道を除く全地域を7世紀終わり頃までに勢力下に起き、大和から役員を派遣し朝廷に貢物を献上させました。いわゆる律令国家の成立です。これは平城京が建造された奈良時代の頃のお話です。前述の古事記・日本書紀は大和朝廷の日本全土の統一により、国の発祥を明確にするためにつくられたものです。が、史実と神話・伝説が混じっており、どこまでが実際にあった話なのかはいまだにはっきりしていません。

ちなみに、当初の蝦夷(えぞ)は関東・東北地方に住む人々を指しており、北海道を蝦夷地とよぶようになったのは江戸時代からです(それまで北海道は日本の国土として認識されていませんでした)。蝦夷を平定した坂上田村麻呂は朝廷より初の征夷大将軍の称号をもらいました。つまりもともとの征夷大将軍は、蝦夷を征服した軍隊の長に与えられたものでした。



神道の成り立ち〜天孫降臨神話〜

日本書紀には国土創生神による「国産み神話」が残されています。すなわち、日本の国土は天上に住むイザナギノミコトとイザナミノミコトが夫婦の営みによって産み落としたものだとされるお話です。このお話には、当然ながら当時の朝廷が国土として認識していた地域しか登場せず、たとえば北海道や沖縄は朝廷の勢力が及ばなかったためでてきません。

そして同じく大和国家の成立については、神の子孫がこの国を作ったとされる神話(天孫降臨神話)が残されています。最高神・天照大神の孫であるニニギノミコトが高天原(たかまがはら=神々の住む世界)より稲穂の国・高千穂峰(現在の日向付近、すなわち宮崎県のあたりとされる)に降り立ち、その際に天照大神より下界統治の権限を表わす三種の神器を授かったというものです。この三種の神器は国家統治の証として天皇家に代々受け継がれ、国の象徴となり私有財産がなくなったはずの現在でも天皇家の唯一の所有物となっています。

ニニギノミコトのひ孫である神倭磐余毘古命カムヤマトイワレビコノミコト)は高千穂峰から船に乗って瀬戸内海経由で大和の国に入り、そこで数々の敵を打ち破り、大和地方の民を統一して国家をうちたてました。カムヤマトイワレビコノミコトの家臣として、大伴氏・物部氏をはじめ数々の有力豪族の祖先が登場しますが、大和が豪族の連合国家であることを象徴しています。
そして、国を統一したカムヤマトイワレビコノミコトその人こそが、初代天皇陛下となった神武天皇なのです。神武天皇が即位した年は、上記文献によるとBC660年であるとされています。

歴史学上は、ニニギノミコトはもとより神武天皇も実在の人物ではなく、これらはあくまで「神話」ひらたくいえば「作り話」であるとされています(日本書紀では神武天皇は137歳まで生きたと書かれているが・・・)。実在の天皇は10代目の崇神天皇からであるといわれています。崇神天皇は3世紀後半の人物であり、ハツクニシラススメラノミコトと呼ばれていました。神武天皇も称号としてハツクニシラススメラノミコトと記述されていますが、これはあとから神武神話の形成時にこじつけられたという説が濃厚です。すなわち実在の人物である崇神天皇の伝承を架空人物の神武天皇の話に転化したのでしょう。
ということで、実際は崇神天皇の頃に大和朝廷が成立した(国ができた)というのが現在の説です。また、天皇一族が国を統一する前にもいくつか前身国家があったとする歴史学者もいますので、いずれにしても「万世一系」とする天皇一族の系譜も本当のところはあきらかではありません。大和は連合国家であったので、実際のところは何回かトップの座をめぐる争奪戦が行われた結果、最終的に周りの豪族を平定した人物が即位して崇神天皇となり、のちの朝廷が天皇家の歴史をあとから作って初代から9代までをでっち上げた(伝説を作り上げた)とするのが妥当な線でしょう。天皇一族とその子孫が君主であることを正当化するための理由がほしかったのだと思われます。

この天孫降臨神話および神武東征神話により、天皇家が国家の頂点に君臨することが神から与えられた神聖にして不可侵な権限であるということが示されたのであります。すなわち、日本土着の宗教である神道は、天皇を神の系譜(現人神)として崇める宗教なのです。

また、神道は多神教の宗教であり、天上界はもとより、世の中に実在するあらゆる物にもそれを統括する神がいるとされています。八百万(やおよろず)とは、「きわめてたくさん」すなわち無限の数を意味する日本語です。大まかな分類として天つ神(天上界にすむ神)と国つ神(現世にすむ神)があり、天つ神のほうがより上位に位置付けられています。もちろん天皇家は天孫降臨神話にあるように天つ神の子孫ですが、神武天皇とその父親は国つ神である海神の娘を母親にもっており、国つ神の子孫でもあります。

また神道では、人が死ぬと神格をもつともされており、実在の人物が神として奉られることもめずらしくありません。平将門や、学問の神様といわれる大宰府天満宮の菅原道真、また乃木神社の乃木将軍(日清・日露戦争で功を立てた陸軍大将)などがその例です。靖国神社では戦没者を国の守護神として奉っています。



近代神道〜復古神道・国家神道・皇室と神道の現状〜

奈良・平安期の大和朝廷においては、神道は国家運営とかなり密に結びついていたと言えます。同時期、仏教が伝来し国教としてみとめられるところになるのですが、仏教は国家の守護をおこなうものとして、また神道は国の発祥と天皇の存在を裏付けるものとして、両方が共存していきます。仏教と神道は互いに影響しあい、神道の神様には仏教由来のものが追加されたり、また仏教では神道の影響で僧侶が酒を飲んだり葬儀で酒が出たりするようになりました。(仏陀の教えでは酒は禁じられているはずである)
鎌倉時代以降、朝廷は形だけとなり、長い間幕府による支配が続きますが、宗教的にも仏教が中心となります。とくに現在よく知られる宗派のほとんどは鎌倉時代前後にその多くが立教されました。国の安泰と民衆の救済が主な目的で、日蓮宗や曹洞宗などは民衆にも深くねざし広範に広がって行きました。が、江戸時代中期になって古事記や日本書紀その他の神道の経典を重視する復古神道の思想が現れ、これが幕末には尊皇攘夷論となりやがて幕府を倒す勢力へと拡大します。

幕府が滅亡し明治政府が打ち立てられると、神道は再び国家の中心的存在となりました。将軍家にかわり、万世一系の天皇が最高権力者となることで、天皇の存在の裏付けとして再び神道が深く根ざすことになるわけです。


(以上” 新興宗教を考察する ”より)



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