餅鯛稲荷大明神  もちたいいなりだいみょうじん 「飯縄山」


飯縄山   (1)  (2)  (3)

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飯縄山マップはこちらに引用してあります
飯縄山の生い立ちはこちらに引用してあります

(”信州山岳ガイド 信濃毎日新聞社”より)
◆特徴

飯縄山は長野市民の山として名高く「ヒクイナ」と標高を読む人もいる。
大ざっぱにいうと頂上を境にして南が長野市、北は上水内郡戸隠村にまたがるコニーデ型の美しい山容をしている。
とはいえ、単体の山ではなく、笠山、怪無山、瑪瑠山、高デッキ山、霊仙寺山などの衛星峰をしたがえた複合的な大きな火山である。
頂上の標柱は飯綱山、山ろくも飯綱高原、スキー場も飯綱スキー場など、いつころからか縄ではなく綱の文字が使われはじめたが、故事からすれば縄が正しい。
それは、もとは粟飯といわれた「天狗の麦飯」がこの山で産出し、それが「飯砂」から飯縄に転訛したという説もあるが、握り飯を縄で結びつける妖術のイズナ使いが住む山だからというのが説得力がある。
すなわち、綱は「網の締めくくりのもとづな」で、縄は「2本以上の糸をより合わせたもの」だから、仮に天狗の麦飯が握り飯になったとしても綱ではできない。
信州百名山のひとつにした清水栄一は、その著書の中で「故郷から朝な夕なに眺め、春夏秋冬の姿を知り…」と冒頭に述べ、この山を自分のいちばん好きな山と躊躇なく山の会の新年会で答えたという。
まさに長野市民にとって母なる山とでもいえそうだ。

◆行程

長野市と戸隠を結ぶバードラインの中ほど、長野カントリークラブの反対側、つまり「一の鳥居」側に標識があり、カラマツ林の別荘地の中を直線に飯縄山へむけた車道を行き、木の鳥居をくぐって進むと飯縄大明神の石の鳥居で入山口。
周囲に数台駐車可。
石の鳥居をくぐって進むと再び木の鳥居。
すぐに第一不動明王がある。
アカマツやツガなどに雑木の混生林をぐんぐん登る。
次々に文珠菩薩や観音菩薩、薬師如来などが現われ、第十一阿閃如来で「駒つなぎの場」といわれる平坦地。
道は直進をさけ右の山腹を巻いていく。
沢状の中をジグザグに登り、右にわずかな水場と千日太夫屋敷跡の看板をすぎて左へ。
わずかで「天狗の硯石」のある尾根にでる。
すぐに林が切れてササ原となり、左から戸隠中社からの道と合流。
やや急登でほぼ直進すると飯縄神社のある南峰。
頂上は指呼の間で北へ10分ほどで着く。
入山口から約2時間半ないし3時間。
ほかに戸隠中社から。
戸隠スキー場から瑪瑠山を経て。
北の霊仙寺山からの縦走。
東山ろくの飯綱リゾートスキー場からの原田新道がある。

◆見どころ

独立峰のため特筆できる大展望で、近くは戸隠連峰、妙高火山群、志賀高原や上信国境の山やま、北アルプス、八ヶ岳、南アルプスに富士山まで。
空気の澄みきったときは佐渡ヶ島まで見える。
登山者の多い割には高山植物や蝶が豊富である。



(”黒姫和漢薬研究所 えん通信”より)

飯綱山行山頂の霧深く、飯縄信仰の足跡

霧の中を出発
10月下旬の午後、友人のK君と長野市郊外の飯綱山(1917m。古くは飯縄山と書いた)山頂を戸隠・中社から目指した。山頂付近に残る飯縄(いいづな)信仰の足跡を訪ねるためだ。
霧がまいていたが、萱の宮社までの30分ほどは林間のなだらかなコースで、登山道に一面に敷き詰められたカラマツなどの落ち葉が前日までの雨を吸い取って歩きやすく、漆などの紅葉も盛りであった。
萱の宮社を過ぎると、さすがに斜度がきつくなってきた。
岩や木の根などのしっかりした足場を選びながら、一歩一歩慎重に登る。
林間のコースが続き、時折、冬を思わせる強い風の音が林越しに聞こえて来る。
黙々と修行に励む行者たちは、この山に何を求めたのであろうか・・・。
下山して来る数組の中高年登山者とすれ違う。
萱の宮社から1時間ほどで尾根筋に出るが、相変わらず霧が垂れ込めており、眺望はまったくきかない。
登り始めて1時間40分、一の鳥居からの南登山道との分岐点にようやく到着。
岩場に小休止するが、一瞬、霧がサアッと晴れ、眼下の眺望が開ける。
「こんな光景に、きっと、行者たちも悟りを開いた境地になったことだろう」と勝手な推測をする。
そんな邪念をあざ笑うかのように、瞬く間に、また霧に深く閉ざされてしまった。

風雪に耐える武田菱
そこから10分ほどで、鳥居のある小さな石祠に到着。
『飯縄山略縁起』に「天福元年(1233)、信濃国荻野(信州新町)の地頭伊藤忠綱が飯縄大明神のお告げにより宝殿を頂上の西窟に造営して飯縄大明神を安置」とある西窟跡で、正面の唐破風(からはふ)に辛うじて読み取れる武田菱の紋に風雪の厳しさが知れる。
「おそらく武田信玄の造営したという本殿の場所であろう」と飯縄史研究会は推測している(長野郷土史研究会機関誌『長野』第109号)。
この西窟の西側の草むらには享保9年(1724)に建てられた山籠一千日供養塔、西窟裏一帯(天狗原)には約20の石祠が残る。
そこから約50メートル行ったところに30センチ×60センチほどの神の井戸があり、澄んだ水が湧きだしていた。
西窟の行者たちが命をつないだ水は思いのほかやさしい味がした。
さらに約50メートル行くと、昭和36年(1961)に再建された飯縄神社本宮がこじんまりとあった。
山頂付近の厳しい風雪に耐えるよう厚い外壁と背丈より少し高いだけの赤トタンの屋根に覆われた中に社殿があり、石造と木造の飯縄明神(狐に乗り、右手に剣、左手に縄を持ち、鼻は高く、背に翼があり火炎を負った姿)が安置されていた。
これらの足跡に、山岳修験道の往時が色濃く忍ばれる。
本宮裏のピークは山頂ではなく、さらに10分ほど行ったところに山頂があった。
山頂付近ではイイヅナの語源にもなった飯砂(天狗の麦飯、山籠の行者などがこれを採って食べたと言われる。
一種の藻類)をかつて産出。
文化15年(1818)8月4日に登山した一茶も「涼しさや 飯を掘りだす飯縄山」などの句を残しているが、その跡を探すだけの時間的な余裕は無く下山。
登山道入口に戻った頃は、紅葉が夕映えにひと際あざやかであった。

足利三代将軍も信仰
飯縄信仰は、伊藤忠綱やその子盛綱が“飯縄の法”を確立し自ら千日太夫と称し全国に広めたもので、全盛期は室町戦国時代。
金閣寺を建立するなど足利幕府の黄金期を築いた三代将軍義満が紫金仏の地蔵菩薩像を飯縄山の本地仏として寄進したほか、上杉謙信は兜の前立てに飯縄明神像を採用。
武田信玄も甲州に勧請、持仏として身に付けていたと言われている。また、八王子市の高尾山薬王院も「飯縄権現を勧請して本尊とした」と伝えているが、「なぜ、かくも栄えたのか・・・」、飯綱山の穏やかな山容からは、容易にその答えは見いだせない。
なお、飯綱高原一の鳥居からの南登山道には千日太夫の屋敷跡や十三仏、善光寺に下る途中の荒安地区には飯縄神社の里宮や仁科氏(戦国時代、仁科盛清は千日太夫の跡を継ぎ、以後代々仁科甚十郎を名乗って神領を支配)が冬季間住んだ屋敷跡が残されている。



(” 市民の浮世絵美術館 ”より)

背景の山々を拡大


善光寺・戸隠山・飯縄山


 さて、上は善光寺を描く明治期の作品です。雲間から覗くという伝統的様式に従う鳥瞰図で、善光寺参りに来た人へのお土産と推測されます。本作品とは別に、渓斎英泉の江戸期の作品等もあり、先行する作品を下資料としています。

 この作品のおもしろさは、善光寺の背景に描かれる北信の山々で、トカクシ(戸隠)山、イツナ(飯縄)山と描き入れられているところです。

 先に述べたように、戸隠には古来から宗教施設がありましたが、同様に飯縄山も一大修験道の聖地で、役の小角(えんのおづ)の飯縄の法で有名です。また、飯縄山も鬼との関連が推測される地で、役の小角には前鬼、後鬼という鬼が付いています。

 善光寺縁起によると、蘇我氏と物部氏の対立の元となった、百済仏を浪花の浜で見つけだした本田善光が、その出身地・芋井の地に運んだことになっていますが、前述したように、芋井は鋳物師の地なのです。したがって、推論を先に進めるならば、金属資源の豊かな鬼の山々を控えてこそ善光寺がそびえたちえ、そこに一大仏都が発展する契機があったのではないでしょうか。

 その後、農業の振興によって人々の定住化が進み、かっての山の民(鉱業)の活躍の記憶が薄くなり、かすかに地名や民話としてのみ残るに過ぎないのですが、庶民文化浮世絵にはそれが庶民文化であるがゆえに、いくつかの要素が記録されています。ちなみに、飯縄山の背後に描かれる黒姫山の麓信濃町には、信州鎌の伝統があり、かってこの地に栄えた刀鍛冶や金属文化の精神を垣間見ることが出来ます。







飯縄山マップはこちらに引用してあります
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