上巻
地天の初発之時、高天原に成りませる神の名は、天之御中主神。
(高の下の天を訓であまという、下これにならえ)
次に高御産巣日神。次に神産巣日神。この三柱の神は、
並独神成りまして、隠身也。
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アメツチのハジマリノトキ、タカアマハラにナりませるカミのナは、アメノミナカヌシノカミ。
つぎにタカミムスビノカミ。つぎにカミムスビノカミ。このミハシラのかみは、 ナラビヒトリカミなりまして、カクリミナリ。
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今日現存する古事記に関する書物で、原書を転写したもの以外の総てに於いて、読み方の間違いがあることを指摘しておく。 その箇所は、[隠身也」の一文句である。これを「身を隠す也」「身をお隠しになった」等々、酷いものになると「お亡くなりになられた」と読まれている。 「隠身也」は、日本語で古来の読み方そのままに「かくりみなり」と読むべきである。 間違って読まれていた為に、「古事記」が更に難解なものとなり、「神」そのものも、おかしな方向に解釈されるようになったのではないだろうか。
地天の初発之時とは、幾千億年とも想像もつかぬ遠い遠い大昔、言い換えれば、宇宙創世の元始、高天原という唯一の実在たる無限の真空が、霊的活動を起こした。その絶対中心を天之御中主神と名付け、その中心から波動する遠心力の陽神を高御産巣日神、その反対に中心に向かって波動する求心力の陰神を神産巣日神と呼ばれた。 そして此の神は、いわゆる造化の三神とも呼ばれる、宇宙の太霊であり、三神にして一神、一神にして二神の実在である。
宇宙とは、上下四方、古往今来の実在。無限の空間と時間、すなわちその太霊は、我々の理念を絶した、天地造化の根本主神ではあるが、決して全知全能の絶対神ではなく、遠心力と求心力の主宰神であり、やがては萬物普遍の実在神ともなると解明せねばならない。 したがって、一神たる天之御中主神は、陽にして陰、陰にして陽。萬物萬事に遍満する太霊ではあるが、易経の太極、仏説の真如に相当し、祈願の対照にされなかった。
それを世人の多くは、キリスト教のゴットや、道教の唯一真神と混同し、最高神と誤解しているが古事記の教える天之御中主神は、特殊の個性や神格がない神である。 無始無終の隠身なので、大神とか大御神とは呼ばれなかった。要するにこの神は有にして無、無にして有、一神が二神として活動すると説けば演繹、さらに二神の活動も一神の主宰と説けば帰納となるという、一即多、多即一の神道の根本原理を顕現されているが、いわゆる汎神論の一神でもない。
ここで神とは何かを考えてみる。本居宣長は、「すべて神とは、古の御典等にみたる、天地のもろもろの神たちを始めて、そのまつれる社に坐す御御霊をも申し、また、人はさらにも云わず、鳥獣木草のたぐい、海山など、その余り、何にまれ尋常ならず、すぐれたる徳のありて、かしこき物をカミとは云う。すぐれたるとは、尊きこと、善きこと、功しきことなどの、優れたるのみを云うにあらず、悪しきもの、奇しきものなども、世にすぐれてかしこきをば神と言うなり。」云々と説き、その玉矛百首の中にも、
神といへば みなひとしく 思うらん 鳥なるもあり 虫なるもあり。 いやしけど いかづちこたま きつねとら 竜のたぐひも 神のかたはし。
などと詠まれている。 聖書では、神は愛なりと説き、仏教では、仏法を護るのが神であるから、日本の天神地祇は、印度の天、夜叉、明王等と同列にされた。ところで、ある宗教団体の教祖は、第一議の神はエネルギーの事と教え、他の宗教団体では、萬物普遍の霊なり、と説く。国学者の神の説明もいろいろで、定説と認めるべきものがない。 しかしわが飯縄神法には、 一 天地万物創成主宰の太霊と、その顕現たる事物一切の霊魂をも神として崇敬せよ。 一 神は隠身が本体、時と処に応じ、四種の霊魂として、顕現する。 一 霊魂の活動法則は、神伝の言霊で知れ。 との神示が、法祖千日太夫以来伝法されているのである その言霊の一部を表解すると
| カカリミ(憑 身) |
幸 魂 サチミタマ (霊界) |
ニギミタマ 和 魂 (霊 界) (奇 魂、 幸 魂)
アラミタマ 荒 魂 (現 界) (荒 魂、 術 魂)
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| カゴリミ(仮凝身) |
術 魂 バケミタナ (幽界) |
| カクリミ(隠 身) |
直 霊 ナオヒ (総界) |
| カケリミ(翔 身) |
奇 魂 クシミタマ (神界) |
| カギリミ(限 身) |
荒 魂 アラミタマ (物質界) |
宗教学者は、一神教、多神教、そして汎神教と分類しているが、神道すなわち日本固有の神ながらの道はその総てを包蔵、網羅しているし、神は神として認識している。そして天津神、国津神、八百万神と呼ぶ。 ところが、天津神と国津神との別や関係はと一歩踏み込めば、答えられない者が多い。 しかし古事記には、天津神と国津神とは決して混同されてない。それのみか神と命、大神と大御神も判然と区別されている。
次に国稚く浮きし脂の如くして、海月なす漂へる時、
葦牙の如く萌え騰がる物によりて成れる神の名は、
宇摩志阿斯詞備比古遅神。次に天之常立神。
この二柱の神もまた、独り神と成りまして、隠身成。
上の件の五柱の神は、別天つ神。
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つぎにクニワカくウきしアブラのゴトくして、クラゲなすタダヨへるトキ、
アシカビのゴトくモえアガるモノによりてナれるカミのナは、
ウマシアシカビヒコジノカミ。つぎにアメノトコタチノカミ。
このフタハシラのカミもまた、ヒトりカミとナりまして、カクリミナリ。
カミのクダリのイツハシラのカミは、コトアマツカミ。
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造化三神に続いて成れる二神も、隠身の神であるから、合わせて五柱の神は、特別の天つ神であり、物質以前の電気電力、磁気磁力を司る神にして、引力、エネルギー、霊気等の神と理解されるのである。
次に成れる神の名は、国之常立神。次に豊雲野神。
この二柱の神もまた、独り神と成りまして、隠身成。
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つぎにナれるカミのナは、クニノトコタチノカミ。つぎにトヨクモヌノカミ。
このフタハシラのカミもまた、ヒトりカミとナりまして、カクリミナリ
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この二柱の神は、国すなわち物質の根元の神であるから、元素の神、そして国之常立神は原子核、豊雲野神は、陰電子の神に相当するのである。
次に成れる神の名は宇比地邇神、次に妹須比智邇神。
次に角杙神、次に妹活杙神。二柱。
次に意富斗能地神。次に妹大斗乃辨神。次に於母陀流神、次に妹阿夜詞志古泥神。
次に伊邪那岐神。次に妹伊邪那美神。
上の件の国之常立神以下、伊邪那美神以前を、併せて神世七代と称う。
上の二柱の独神は各一代、次にならべる十神は各二神を合わせて一代と云ふ。
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つぎにナれるカミのナはウヒジニノカミ、つぎにイモスヒジニノカミ。
つぎにツノグイノカミ、つぎにイモイクグイノカミ。フタハシラ。
つぎにオホトノヂノカミ、つぎにイモオホトノベノカミ。つぎにオモタルノカミ、つぎにイモアヤカシコネノカミ。
つぎにイザナギノカミ、つぎにイモイザナミノカミ。
カミのクダリのクニノトコタチノカミヨリシモ、イザナミノカミヨリサキを、アワせてカミヨナナヨとイう。
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国之常立神を原子核の神、豊雲野神を陰電子の神と理解すれば、次の五代十柱の神々は、物質進化の神にあたり、精体、気体、液体、固体と進化し、最後の伊邪那岐、妹伊邪那美の二神は、それら各々の物体に、生命を分与する神と理解できるのである。
したがって日本国家発生の祖神、俗に天神七代地神五代と称せられる神々にも関係あるが、それはずっと後世の事であり、宇宙創成史からすれば、当然に原子宇宙。それが進化して、天体宇宙に該当するのである。もちろん神世は時間空間を通じての実在であり、永遠の過去から、永遠の未来に通じての、大自然現象。その中心霊を神と認識するのが、飯縄神法の教える古事記の神道と理解するのである。 無限の絶対真空たりし高天原、そしてその極微の原子から、その離合集散する物質は、すべて別天つ神の霊力の発現たる、引力、電力、光、熱等の作用を受けて、生成され成立しているのである。 それ故それ等の神々を、独り神と成ると説き、ひとりでに自ずから成った大自然と解明されている。 そして物体として最大の天体も成立する結果となった。それを天文学者は、恐らく四十五億年前だったろうと推理している。
古事記ではどのように伝えているのであろうか。
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