餅鯛稲荷大明神  もちたいいなりだいみょうじん 「稲荷御祭神の知識」


稲荷御祭神の知識

宇迦之御魂大神 大宮能売大神 猿田彦大神 宇賀神 荼吉尼天 弁財天
御神像の御姿いろいろ お稲荷さんとおキツネさん 稲荷さんはなぜ朱塗り

稲荷御祭神の文献はこちらに引用してあります  



お稲荷さん と おキツネさん




(”伏見稲荷大社”より)
おいなりさんというと、だれもが反射的に思い浮かべるのは狐でしょう。
我が国の神社では、たとえば伊勢神宮の鶏、春日大社の鹿、日吉大社の猿、八幡宮の鳩というふうに、それぞれ固有の動物が神の使いとして尊ばれています。
しかし、お稲荷さんの狐は、単なる神使ではなく、眷属といって神様の一族のような資格を与えられており、そのため狐は稲荷神そのものだという誤解も一部の人にもたれています。

お稲荷さんと狐がこのような親密な関係をもつに至った由来については、いくつかの説があります。
そのなかで一番よく耳にするのが、稲荷の神が「食物の神」つまり御饌神(みけつかみ)なので、その「みけつ」がいつか御狐(おけつね)・三狐(みけつね)に転じたことによるという説でしょう。
あるいは、稲荷神がのちに密教の荼枳尼天と本迹関係を結んだことを重視し、荼枳尼天のまたがる狐がそのまま稲荷神の眷属とされたのだという説も一般に流布しています。

それはそれとして、空海の弟子真雅僧正の著といわれている「稲荷流記」に面白い伝説が記されています。

時は平安初期の弘仁年間(810〜24)のこと、平安京の北郊、船岡山の麓に、年老いた狐の夫婦が棲んでいました。
全身に銀の針を並べ立てたような白狐だったのです。
この狐夫婦は、心根が善良で、常々世のため人のために尽くしたいと願っていました。
とはいえ、畜生の身であっては、所詮その願いを果たすことはできない。
そこで、狐夫婦はある日意を決し、五匹の子狐をともなって、稲荷山に参拝し、「今日より当社の御眷属となりて神威をかり、この願いを果たさん」と、社前に祈りました。
すると、たちまち神壇が鳴動し、稲荷神のおごそかな託宣がくだりました。

「そなたたちの願いを聞き許す。
されば、今より長く当社の仕者となりて、参詣の人、信仰の輩を扶け憐むべし」こうして、狐夫婦は稲荷山に移り棲み稲荷神の慈悲と付託にこたえるべく日夜精進につとめることになりました。
男狐はオススキ・女狐はアコマチという名を明神から授けられたとのことです。



(”伏見稲荷大社”より)
「稲荷大神様」のお使い(眷族)はきつねとされています。
但し野山に居る狐ではなく、眷属様も大神様同様に我々の目には見えません。
そのため白(透明)狐=“びゃっこさん”といってあがめます。
勿論「稲荷大神様」はきつねではありません。



(”笠間稲荷神社”より)
いっぱんに「お稲荷さん」と言えばキツネをイメージされる方が多いようです。
キツネはあくまで稲荷大神のお使いであって、神さまそのものではありません。
稲荷大神にとってキツネは、熊野神社のカラスや八幡神社のハト、氏神さまの狛犬などと同じように「神使(かみのつかい)」「眷属(けんぞく)」などと呼ばれ、神さまのお使いをする霊獣です。

これは中世の時代に、人間が持っている様々な欲望を直接神さまに祈願するのは畏れ多いとして、特別に選ばれた動物を通してお願いすることが行われたことによるものです。

キツネがお使いとして選ばれたのは、稲荷大神が農業神であることと深く結びついています。
民族学者の柳田邦男も指摘しているように、日本人には古くから神道の原形として「山の神、田の神」の信仰があります。
これは春になると山の神が山から里へ降り、田の神となって稲の生育を守護し、収穫が終えた秋に山へ帰って、山の神となるという信仰です。

キツネも農事の始まる初午の頃から収穫の終わる秋まで人里に姿を見せていて、田の神が山へ帰られる頃に山へ戻ります。

このように神道の原形である「田の神、山の神」と同じ時期に姿を見せるキツネの行動から、キツネが神使とされるようになりました。

このキツネが稲荷大神のご祭神と混同されるようになったのは、平安時代以降の神仏習合により、稲荷大神が仏教の守護神、茶枳尼天(だきにてん)の垂迹(すいじゃく)とされたからです。
茶枳尼天はまたの名を白晨狐菩薩(びゃくしんこぼさつ)と言い、キツネの精とされました。
このことから、いつの間にか一般民衆の間で、稲荷大神のご祭神とキツネが混同して理解されてしまったわけです。

また、稲荷大神のまたの名である御饌津神(みけつがみ)の「ミケツ」が混同されて、三狐神(みけつがみ)と記されたことも一因と考えられます。
御饌津神とは文字通り「御(=尊称)饌(=食物)津(=の)神」で、食物を司る神を意味していて、キツネとは全く関係はありません。

稲荷大神の信仰の起源は古く、しかも、稲作文化を育ててきた日本人に最も親しみやすい神さまとして永く崇敬されてきただけに、途中にさまざまな迷信や俗信、誤解が生じたり、附会されたこともあったことと思われます。



(”市原稲荷神社”より)
古来よりキツネは稲荷神の使いとされてきました。全国の稲荷神社には狛犬ではなく、キツネの像が神前を賑わしています。

キツネが宇迦之御魂神の神使となった理由は‥
(1) 一般には「うかのみたまのかみ」の別名が「みけつ神」であったことから、ミケツのケツがキツネの古名「ケツ」が想起され、用いられた。
(2) キツネを田の神の先触れと見たから。

尊い神は容易には姿を見せてはくれません。
この神の使いであるキツネを通さなければ神霊をうかがい知ることはできないと考えられ、キツネがご祭神とともに祀られる必要性が生まれたのです。



(”斗瑩稲荷神社”より)
古来よりキツネは稲荷神の使いとされてきました。
全国の稲荷神社には狛犬ではなく、キツネの像が神前を賑わしています。
「朱塗りの鳥居」「正一位のノボリ」と共に、稲荷信仰の重要なシンボルです。
その為かも知れませんが、稲荷神社の神様はキツネと思われている方がよくおられますが、キツネは稲荷神の神使(眷属)であり、更にいうなら、「キツネによく似た眷属」とさえ記している古文書があることも申し添えておきます。

キ ツネが宇迦之御魂神の神使となった理由
○ 一般にはウカノミタマの別名が「みけつ神」であったことから、ミケツのケツがキツネの古名「ケツ」が想起され、用いられた。
○ キツネを田の神の先触れと見たから

元々、キツネは鹿などとともに、人里近くに現れ、人々に親しまれた動物でした。
キツネが山からおりて田の近くで食物をあさって子キツネを養おうとしたのは、ちょうど稲の稔った晩秋から冬にかけてです。
秋の田園でキツネの姿を見たり、鳴き声を聞いた人々は何かしらの神霊感を覚え山にいる神霊の先駆けとみたようです。
尊い神は容易には姿を見せてはくれません。
この神の使いであるキツネを通さなければ神霊をうかがい知ることはできないと考えられ、キツネがご祭神とともに祀られる必要性が生まれたのです。

命婦神とは?
宇迦之御魂神とは別に、キツネの神を命婦神と呼びます。
命婦とは五位相当の女官の名称ですが、これを霊狐に対して用いました。
伏見稲荷の奥宮の北に鎮座する「白狐社」がこれにあたります。







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